前触れ症状は、脳卒中の種類によって異なります
脳卒中(脳梗塞、くも膜下出血、脳出血)の症状の多くは突然起こりますが、本格的な症状の前に、前触れ症状が現れることがあります。前触れ症状は、脳卒中のタイプで異なります。
脳梗塞
脳卒中の中でもっとも前触れ症状が現れやすいのが、脳梗塞です。この前触れ症状は、TIA(一過性脳虚血発作)と呼ばれ、「片側の手足が動かない」、「片側の手足がしびれる」、「片方の目が見えない、視野が欠ける」、「言葉が出てこない」、「眩暈やふらつきがある」など脳梗塞と同様の症状が現れ、24時間以内に消失します。
実際にはTIAの多くは数分〜30分以内で症状が治まり、1時間以上症状が続く場合は、すでに脳梗塞が起きていると考えられます。TIAでは、血栓が血管に詰まるものの、自然に溶けて、血流が再開します。再開したとはいえ、動脈硬化など血管が詰まりやすい状態であることは変わらないため、TIAが現れた人の約10%が、3ヶ月以内に本格的な脳梗塞を起こしています。
脳出血
ほとんどの場合、特に前触れ症状はなく、高血圧の人にある日突然症状が起こります。高血圧と診断されながらも、自己判断で降圧薬の服用を怠っていたり、血圧コントロールが上手くいっていない人は注意が必要です。
まれに、TIAと同じような症状が起きることがあります。また、頭痛がする、目が見えにくいなどの前触れを感じることもありますが、あまり多くはありません。
くも膜下出血
くも膜下出血を起こした人の約30%に、突然の強い頭痛などの「警告発作」と呼ばれる前触れがあったことがわかっています。これは動脈瘤が破裂する前に少量の出血が起こることで現れます。
内頚動脈と後交通動脈が分かれる部分にできた動脈瘤が大きくなると、眼球の運動を司る神経を圧迫して物が二重に見えたり、片方のまぶたが下がったりすることもあります。
前触れ症状はすぐに治まっても放置せず、速やかに神経内科や脳神経外科などを受診しましょう。診療時間外であれば救急外来を受診します。