高血圧や糖尿病、心臓病は脳卒中の代表的な危険因子です
脳卒中を起こす原因はいくつかあり、これらを危険因子(リスクファクター)といいます。代表的なものは以下の通りです。
高血圧
動脈硬化、詰まり血管壁が硬く厚くなって血液を通りにくくしたり血管が破れやすくなったりすることは、一種の老化であり、誰でも多少は仕方ないことです。
その進行を遅らせることが脳卒中などの予防になるわけですが、高血圧はこの動脈硬化を悪化させる大きな要因です。血圧が高くなると血管壁は常に強い負担がかかることになります。この結果、血管壁は傷ついたり、瘤を作って出血しやすくなります。
血液が流れにくくなった血管は脳梗塞を起こしやすくなりますし、もろい血管壁は寒さやストレスなどにさらされて血圧が急上昇すると、それを引き金に破裂してしまうことがあります。
糖尿病
糖尿病はただ単に血糖値が高くなるわけではありません。余分な血糖が末梢神経や血管を傷つけ、さまざまな合併症をもたらします。
合併症では「糖尿病性腎症」、「糖尿病性網膜症」、「糖尿病性末梢神経障害」がもっともよく知られていますが、このほかにも太い動脈が傷んでしまう「大血管障害」があります。この大血管障害の代表が動脈硬化です。
動脈硬化は加齢に伴う老化現象として起こるものでもありますが、糖尿病患者は健康な人よりも10年以上早く動脈硬化が起こるといわれています。動脈硬化が促進されるわけですから、脳卒中を起こす危険性も当然、高くなってしまいます。
心臓病
狭心症や心筋梗塞の人では、全身の動脈硬化が進んでいる人が多く、血圧の高い人も多いのです。心臓で発生した血栓が血流で脳に運ばれて障害を起こす「心原性脳塞栓症」という脳梗塞は、心房細動(不整脈の一種)が険因子として知られています。
心原性脳塞栓症の2/3以上は心房細動が原因とされており、高齢者になるほど心房細動のリスクは高まります。心房細動の患者さんが脳梗塞を発症する確率は、年平均5%となっており、これは心房細動がない人に比べて約5倍のリスク上昇となっています。
脂質異常症(高脂血症)
血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が多すぎる状態です。コレステロールでは、悪玉とされているLDLコレステロールが多すぎると、血管壁に入り込んで血管壁を厚く硬くします。中性脂肪の多い人は、血行が悪くなりやすくコレステロールも多いのが一般的な傾向です。
喫煙
タバコには様々な有害物質が含まれていますが、ニコチンとタールは体内に入ると血管を急激に収縮させる作用があるため、血圧の上昇につながります。脳梗塞やくも膜下出血だけでなく、心筋梗塞の危険因子としても有名です。現在、喫煙している人でも禁煙を続ければ脳卒中のリスクは大きく低下します。