脳出血は頭痛、痺れ、意識障害などの症状が一気に現れます
脳出血は症状が一気に現れるのが大きな特徴です。出血すると周囲の血管も圧迫されて破裂し、連鎖反応が起きて一気に脳内に出血が広がると考えられています。
ほとんどの場合、出血が起きると数分のうちに頭痛、手足のしびれ、吐き気、嘔吐、意識障害などが現れます。出血は、数分で止まることもありますが、数時間にわたって続くこともあります。出血が続く場合は、次第に症状が悪化していきます。
脳の血管はどこからでも出血を起こすわけではなく、出血しやすい部位は決まっています。脳出血が特に起こりやすいのが、大脳にある「被殻」と間脳にある「視床」と呼ばれる部位で、脳出血の約80%はここで発生しています。
被殻は、大脳の指令を全身に伝える内包の外側にあり、出血が起こると、左右どちらかの手足の「運動麻痺」や「感覚障害」が起こります。言葉が出ないなどの「失語症」が起こることもあります。
視床は、大脳機能の中継点となっているため、ここに出血が起こると、手足が思うように動かせなかったり、手足のしびれが強く現れたりします。
このほかにも、皮質下・脳幹・小脳などにも出血は起こります。大脳の表面近くにある皮質下に出血が起こると、麻痺は少ないものの、簡単な計算ができない、字が書けない、視野が欠けるなどの症状が現れます。
脳幹は、呼吸や体温調節、心臓の運動などの生命維持に重要な役割を果たす神経が集中しています。脳幹の「橋(きょう)」と呼ばれる部位に出血が起きると、痺れや眩暈、吐き気・嘔吐、力はあるのに立てない・歩けないなどの症状が現れます。最悪の場合は、昏睡状態から呼吸障害や脳神経障害を起こして、数時間で死亡するケースもあります。
小脳は、体のバランスを保つ役目を担っているため、ここに出血が起きると、強い眩暈をはじめ、頭痛、吐き気・嘔吐が現れます。手足の麻痺はないものの、自由に手足が動かせない、歩行時にフラフラする、などの障害が現れます。
脳出血の発作が起きるのは、ほとんどの場合、血圧の変動が激しい日中の活動時です。統計によると、もっとも危険な季節は真夏と真冬、危険な時間帯は朝の7時ごろと夕方の5時ごろとされています。入浴時、トイレでいきんだ時、興奮時などは血圧が急激に変化するため、高齢者は特に注意が必要です。
脳出血を起こしたと思われる場合は、症状の軽重にかかわらず、すぐに救急車を呼んで医療機関へ搬送することが重要です。