無症候性脳梗塞は脳ドックで発見される代表的な病気です

脳梗塞は、血管が破れて出血を起こす「くも膜下出血」や「脳出血」と異なり、血管が詰まる病気です。血管が詰まった部分から先の血流が途絶えて、栄養や酸素が届かなくなり、脳細胞が死んでしまいます。その結果として、運動・言語・感覚などの機能障害や後遺症が残る場合があります。

MRIで早期診断が可能

脳の血管が塞がっているにもかかわらず、詰まった部分の血管が細く、梗塞の範囲が小さいため、脳梗塞の自覚症状が現れないケースを「無症候性脳梗塞」といい、脳ドック受診者の約20%に発見されるといわれています。近年では「隠れ脳梗塞」という名称で紹介されるケースも増えてきました。

多くは加齢によるものですが、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を指摘されている人の場合、リスクはさらに高まります。

たいていは直径が5mmにも満たない小さな梗塞のため、脳梗塞の発作(脳卒中)や、運動麻痺、感覚障害といった症状が現れるまでには至っていません。しかし、大きな梗塞ができたり、病巣の数が増えたりすれば、とたんにこれらの症状を引き起こしかねません。

これまでは、検査を受けても、無症候性脳梗塞は見過ごされてきましたが、MRI検査の進歩によって、発見されるようになりました。高齢者、高血圧や糖尿病などのある人は一度脳ドックで調べてもらうと安心だと思います。

無症候性脳梗塞が見つかったときは、薬物療法や生活習慣の改善によって、まず危険因子を早急に減らすことが求められます。なかでも、高血圧のコントロールは重要です。

必要に応じて、血栓を予防する目的で抗血小板が投与されることもあります。経過を観察する場合、定期的にMRI検査を行っていきます。

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