尿検査で動脈硬化を引き起こす糖尿病や腎疾患を探ります
糖尿病になると血管壁が厚く、また硬くなって柔軟性が失われ、血液の通り道が狭くなる「動脈硬化」を引き起こしやすくなります。動脈硬化は脳卒中と深い関係にありますので、注意が必要です。
また、腎臓が病気で機能低下に陥ると血管に負担がかかるため、こちらも脳卒中のリスクを高めることになります。そこで脳ドックでは以下の尿検査を行なって、糖尿病や腎機能の異常がないかを探ります。
尿比重
体にとって不要な物質は血液で腎臓に運搬され、余分な水分と一緒に尿として体外に排出されます。したがって、腎臓や体のどこかに異常があれば、尿の成分や量などに影響が出ます。
尿比重は尿に含まれる物質の濃度を調べるもので、動脈硬化を引き起こす糖尿病を発症していると、検査数値は高値を示します。急性腎不全の利尿期(尿量が増加する)では低値を示します。いずれの場合も、脳卒中の発症に深く関係します。
尿糖
インスリンが正しく作用し、血糖値が適切にコントロールされていれば、糖が尿中に漏れ出てくることはありません。しかし、血糖値が高い人は、糖が腎臓から尿に漏れ出してきます。糖尿病のスクリーニング(ふるいわけ)検査として実施されます。
尿潜血
腎臓や尿路、膀胱に異常があると、赤血球が尿中に混じることがあります。尿潜血は、尿を採取して試験紙を浸すことで、赤血球中の大部分を占めているヘモグロビンの有無を調べることで、血が混じっているかを確認しようという検査です。
ウロビリノーゲン
赤血球中のヘモグロビンは肝臓でビリルビンに変えられ、小腸に運ばれます。そして腸管内の最近の作用で分解されてウロビリノーゲンになります。その大半は腸管から排泄されますが、一部再吸収されて肝臓で再びビリルビンになります。
ビリルビン、ウロビリノーゲンの一部は血中にもれ出て尿中に出てきますが、肝臓が病気等で障害を受けていると尿中のビリルビン、ウロビリノーゲンが増加します。肝臓の病気は脳出血のリスクが高まるため、この数値を参考の一つにするわけです。
ビリルビン
同上
尿ケトン体
肝臓で脂肪酸から作られる物質の総称が「ケトン体」です。インスリンの作用低下で糖代謝の異常が生じていると、肝臓で過剰に産生され、尿中に排出されます。これが「尿ケトン体」です。
尿沈渣(にょうちんさ)
採取した尿を遠心分離器にかけて、沈殿した成分を顕微鏡で観察することにより、腎臓や尿路系の病気を原因とする混入物がないかを調べるものです。